沈まぬ太陽

沈まぬ太陽

途中で休憩が入る映画っちゃ初めてだ。大作ですなぁ。
主演の渡辺謙の演技はとてもイイです☆

山崎豊子の原作で、これはフィクションですと断ってあるが、どうみてもJALそのもの。

JALは、国営だった時代が長く、半官半民の時代もあり、巨大労組を抱えていたので、深い闇もたくさん抱えている。

巨大労組の代表というと、まずは国鉄、専売公社、電電公社の三公社。JALとNHKのほぼ国営企業。そして日教組ってとこだろうか。郵便局もそうか。

NHKの集金のオジサンってのは、NHK労組の既得権としてすごく重要らしい。

地デジ時代になったら、B-CASTカード登録のついでで、みんな自動引き落としにしてしまいそうな気がするが、そうなった場合は集金のオジサンの仕事はなくなってしまうのだろうか?

四半世紀前には、絶対に解体不可能と言われていた巨大労組だが、そのうち三公社とJALは、中曽根の時代に民営化を機にして解体というか切り崩されている。

中曽根は、日本を不沈空母になぞらえて、プラザ合意の経済爆弾も発動し、米共和党への貢献抜群だったことが強く印象に残っているが、対米的な貢献だけでなく、巨大労組解体を行なったという点でも貢献度抜群だ。没後に大勲位菊花章もらえるんじゃないだろうか。

三公社+JALの民営化は、1985年~1987年の間にかたまっている。

チェルノブイリの事故による放射能汚染でソ連の農業が大ダメージを受け、プラザ合意でのインフレ加速で、東西の経済格差が開いたために、共産陣営が軒並み左前になったことと、日本で労組狩りとも言える、公社・国営企業の民営化が行なわれたことは、無関係ではないだろう。

沈まぬ太陽の中で描かれている、労使闘争や、労組が分裂してセクト間で潰し合うという情景は、現代の感覚だと奇異に見えるが、80年代の頭ぐらいまでは、それは当たり前だったのだろう。

作中、なにげにすごいセリフが色々入っている。
アカの娘など嫁に出来るかとか、まぁそういう時代だったんだなと。

主人公の恩地は、愚直なまでの労組の闘士であり、その激しい闘争姿勢が会社から嫌われて、懲罰人事で海外の僻地に飛ばされ、塗炭の苦しみを味わう。

が、JAL123便の墜落事故で500人以上の死者が出て、お詫び行脚するうちに、突然に家族を失った人たちの理不尽な不幸に比べたら、僻地に飛ばされて冷や飯食いだった自分の苦しみなど、なんて小さなことだったんだろうと感じ入って、人間が丸くなっていく過程が、実に上品に、見る者の心を打つように美しく描かれている。

これは作者の構成が非常に上手いから、恨み言なく、丸く収まって清々しい気持ちを抱かせるようになっている。
労組の仲間や、会社の中での立場を失っても、心安らかに新しい人生を生きられるのだと。

史実で言えば、123便の墜落は、十中八九修理ミスによる事故ではなく、破壊工作によるテロなので、そんなに丸く収まるきれいな話ではないが、あの事件を期に、ひとつの戦争の時代が終わったので、123便以前と以後とで、社会の体制が大きく変わり、それによって前の体制に縛られていた人々がかなり自由になって、人心も変わったのは間違いない。

国営企業の金、つまり公金である種の人々を養うという無理があったために、国鉄もJALも赤字まみれで給与水準を上げるわけにも行かず、勢い労使闘争も激しかったという無茶も、一応解消した。

ニュースの記事としてそういうことを書くのは不可能だが、フィクションですと断ってエッセンスは描くけど、タネは伏せておくというのは、許されるギリギリの表現として、やるべきことではあるのだろう。

巨大労組が解体されて良かったのかどうかってのは、立場によって様々な意見があることだから、なんとも言えないことだが、ここ最近だと一旦民営化で解体した郵政が、また再編になりそうな気配だし、日教組はすごく盛り上がってるから、ある種の労組は逆に強くなってきているとも言える。

日本の労組は、あまりにも政治的な色が強すぎて、本来の労働者の権利のために団結する互助組織ではなくなってしまっているので、なんとも関わり難い。

労組がすごく経営陣に嫌われる一方で、労組を経験しないと絶対に出世しない会社もあり、一概に労組ってこういうものだとは言えない。

ただ、日本の組合や市民団体は、欧米のそれとは意味がまったく違うことだけは確かだ。

もともとこの事件は知らなかったのですが、JALが経営危機なので、ヤフーファイナンスを見ていたらコメントをしている人がいて事件を知りました。
その後、この映画がその事件を題材にしていることに気付きました。

この時期にこの内容。
製作者はどういう意図なんでしょうか?
現状の体質に対して公的資金、救済に反対するために大衆を煽っている?
被害者に対するJALの態度の批判?

あんまり分かってません

去年も「クライマーズ・ハイ」という123便を題材とする映画があって、そこそこ話題になりました。

123便がこの時期に話題になるのは、JALの経営危機というよりは、民主党というかそれを後押ししている集団の方に関係しているのだと思います。

123便、オウムのサリン事件、郵政選挙と友愛選挙の極端な大勝は、ある戦争についての節目に関連している事象と言えます。

この後に控えている節目は、来年の参院選、11年のアナログ放送停止、12年の連合軍から韓国への朝鮮戦争軍事統帥権の返還。といったところでしょう。

そこまで進むと、北朝鮮の存在意義がほとんど消滅しているはずなので、南北統一や、東アジア共同体発足がかなり現実味を帯びてくると思われます。

戦後日本は一貫して、日本人だけのものではなかったという前提条件をもってこの映画を観てみると、さらに楽しめると思います。